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その36 「こぶし腰浮かせ」

「矢切りの渡し」。
映画、寅さんシリーズでなじみ深い。
同名の歌謡曲でも耳に残る。

江戸時代、渡し船はお互いさまの乗合船。
船の大きさにもよるが乗員は15人前後だった。
向こう岸へ渡る時間は決まっていた。
場合によっては馬も客になった。

狭い船の中、譲り合うのは当たり前。
ちょっと腰を浮かして、
こぶし一つぐらい譲れば、
訳なく空き席ができた。

イメージ最近、地下鉄や山手線の電車で
若い人がお年寄りに
気持よく座席を譲る光景を
しばしば見かけるようになった。
見ていて微笑ましい。

たぶん不景気のせいだろう。
経済が順調に行っている時は
相手のことを思いやるどころか、
自分を顧みることがすくなかった。
ところが100年に一度の大変などと
言われると、改めて自制的になる。
すこしは優しさを取り戻す機会になったのか。

こぶし腰浮かせ。
相手を気遣うことを自然にした
江戸の人たちの心情をうまくあらわしている。
あなたもやってみませんか。

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