その26 「半畳を入れる」
若い人たちが何人か集まって
ワイワイガヤガヤしていたとする。
そのうち一人が調子に乗って
「誰それの話が本当なら太陽が西から上る」と、
ちょっと生意気な口ぶり。
とたんに、そばで黙って聞いていた年寄りが、
「おいおい、そのいいぐさは10年早かあないかい」
怒るでもない、叱るでもない、
強いて言えばたしなめる、だろうか。
半畳を入れるという言い方、ざっくり言えば
こんなシーンを想像したらいい。
この割り込みが、
もうすこし、ユーモアに富んでいれば
チャチャを入れる、冷やかす
といった表現に言い換えてもいいだろう。
もともと、この半畳、
芝居小屋などで座布団代りに使われていた
小さな畳のこと。
芝居が下手だと、この半畳を舞台に投げ込んだ。
大相撲でも
横綱など上位力士が格下の力士に負けると
座布団が飛ぶ。
これが転じて会話の中でも使われ出した。
もっとも、本来は約束事があって
年上だからこそ年下に対して許されたものらしい。
若い者が年上に生意気な口をきくのはご法度。
でもね、
最近は気の利いた半畳を入れられる上司は一握りらしい。

