その19 「銭湯づきあい」
江戸に最初の銭湯ができたのは1591年夏。
日本橋に程近い銭甕橋のたもとだ。
徳川家康が江戸にはいった翌年である。
1人永楽銭1文だったので銭湯と呼ぶ。
水が絶対的に不足していたし、
火を使えば火事の原因にもなる、
それに、スペース的にも経済的にも
自家風呂を持つ余裕はなかった。
当初は蒸し風呂に近い、
たっぷりお湯がたまった風呂を
楽しむようになるのは
だいぶ後になってのことだ。
ともあれ、風呂では裸の付き合いになる。
あらかじめ前と後ろをきちんと洗い、
熱い湯にじっと我慢している先着組に
気を使いながら湯船に入った。
式亭三馬の『浮世風呂』には
その情景がよく描かれている。
いまの時代、一見、関係なさそうだが、
この銭湯づきあいが問われる場所がある。
ゴルフ場だ。
クラブの会員になれるかどうかを左右する。
役員が一緒にコースをまわり、
腕前もさることながらマナーを見る。
その最後の関門が風呂である。
「風呂の入り方も知らない方をメンバーになんて」
そんな厳しい一言で、憂き目にあった人が結構いる
というから面白い。

