その16 「うかつあやまり」
電車がぐらりと揺れた。
あっと思ったときはもう遅い。
靴を思いっきり踏まれてしまった。
さて、あなたならどうする?
相手を見据えて「イテテッ!痛いじゃないか。気をつけろ」
それとも
優雅に「とんだところへ足を出していて失礼」
本音を言えば、優雅にいきたいところだが、
なかなか難しい。言葉に迷う。
ところが、
江戸では踏まれても先に謝れといった。
「うかつあやまり」
という。
「けんか腰になって、トラブルを起こしたくない」
という意味もある。
それに加えて
「自分がうかうかしていたから足を踏まれた」
と危機管理ができていない自戒の意味があった。
自分が悪くないのになぜ謝るのか?
今の子供や若者はたいがい反論してくる。
そんなときは、ぜひ教えてあげたいものだ。
足を踏まれたとき、外国では
「私の足が大きくてごめんなさい」
というセリフがあるそうだ。
ここにも大人の知恵がある。

