その6 「横切りしぐさ」
大相撲。
関取たちの土俵入り。
花道から次ぎ次ぎに土俵に上る際、
右手を手刀のように軽く振る。
審判員や観客の前を横切る挨拶。
この手刀、勝負に勝って
賞金の入った包みを受ける前にも見られる。
相撲の神様にお礼を言うしぐさである。
まず左に神産巣日神(かみむすびのかみ)、
右に高御産巣日神(たかむすびのかみ)、
真ん中に天御中産神(あめのみなかぬしのかみ)だ。
もともと日本人は刀を
単なる武器と見ず、
高い精神性の象徴と見る、
慣わしがあった。
刀を振ることで魔を払い、退散させる、
そんな意味合いもある。
もっとも
いつも抜き身の刀を
振り回しているわけにはいかない。
そこで登場するのが手刀。
ちょっと目の前を横切って失礼しますよ。
ごめんなさい。
前を通らせてください。
江戸のしぐさは右回り。
手刀は右手で切るものと決まっていた。
横綱朝青龍が手刀を左手から右手に直されたのも
しきたりに従った結果だ。

